新設学科情報 イベントレポート 女子美術大学|大学Times

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新設学科情報イベントレポート
デザイン×ビジネス×テクノロジー
新学科「共創デザイン学科」を体感するワークショップ開催レポート
~女子美術大学~

大学Times Vol.46(2022年10月発行)

新設学科情報 イベントレポート 女子美術大学

2023年4月、女子美術大学に「共創デザイン学科」が誕生する。従来の芸術学部3学科(美術/デザイン・工芸/アート・デザイン表現)とは一線を画し、多様な領域の人々と共に新しい価値を創造する「共創型リーダー」をめざす4年間の学びを設立するという。8月28日、高校3年生が「共創デザイン学科」の学びを体験するワークショップ「デザイン&プログラミングで友達ロボットを作ろう!」が東京・大田区の六郷BASEで開催された。そのレポートから、120年以上にわたり女子に特化した芸術教育に注力する女子美術大学の新たな挑戦を探ってみたい。

参加者は事前申込を行った高校3年生。会場の六郷BASEは新ビジネスに挑戦する企業家や企業希望者に向けてオープンした創業支援施設で、共創デザイン学科の学びと共通する部分も多い。

当日くじ引きで決定した3グループ(赤・黄・青)に分かれたあと、講師より
・「こんなロボットが友達だったらいいな~」と思うロボットをイメージし、
・ロボットの性格を表す動作をプログラミング、
・その性格にマッチした外観を手作りでデザインし、
・実際に動かしてみる
という今回ワークショップ概要と具体的なタイムスケジュールについて説明があった。

13:00~15:00
1)チームビルディング
2)「友達ロボット」製作の役割分担
3)「どんな動きができるの?」を確認
4)装飾材料と工具の確認
5)製作
6)プレゼンテーション・講評

初対面のコミュニケーションにも有用「チームビルディング」

グループに分かれていきなり作業に入るのではなく、まず「お互いを知る」ことからスタート。合図とともに、自己紹介として氏名と「今年一番楽しかったこと」を披露した。各グループに大学のスタッフも入り、初対面でもすぐ打ち解けた様子だったのは、「力を合わせて新しいことにチャレンジしたい」というマインドをお互いに感じ取れたからではないだろうか。

続いて、今回の製作テーマ「あなたにとってロボットとは?」のイメージについて5分間のディスカッションを行った。ロボットといっても、pepperやAIBOのような人や動物を模ったものや、作業機能を考慮したシンプルな形状のルンバ、自動運転の車など幅広い。各々のイメージを同じテーブルに乗せる初動のイメージ共有は、共同で製作を行う上で不可欠であり、「同じ方向を向いて作業を行い、作品を仕上げる」重要な鍵となる。

コンセプトデザイン~プログラミングも自分たちの手で

ロボットのコンセプトデザインは「子どもに好かれる」「ちゃんと怒ってくれる」「人とコミュニケーションをとる」など、自由な発想で考えてアイデアを出し合う。その様子は、さながらロボットに命を吹き込むように、イメージが立体的になっていくようだった。

さらにプログラミングもグループで役割を担った高校生がノートパソコンと向き合い、前進、停止、後退、向きを変えるなどの動作が思い通りになるかを確認していた。並行してデザイン担当は用意されたさまざまな素材と格闘しながら、切る、貼る、塗る工程を重ねて体裁を整えていく。

「共創」の具現化に指導者も尽力

手前では動き(プログラミング)、奥では外観(ロボットデザイン)の各作業場の間を、教員と生徒が動き回り、完成に向けて作り上げていく。つい数時間前は初対面だった生徒たちが自発的に意見を出し合い、具現化のためにロボット製作の実績をもつゲストトレーナー(羽田成宏准教授就任予定者、中村勇太ロボットエンジニア)が適切にアドバイスする。限られた時間の中で「友達ロボット」を完成させる、という目指すもののために「共創する」様子が目前で繰り広げられていた。

製作した「友達ロボット」
各チームのプレゼンテーション

●青チーム「子どもと一緒に遊べるロボット」
子どもがお絵かきできるように、真っ白なデザインで頭の上にポスカ(多色ペン)を載せた。自由に動いてクルクル回るのは、子どもたちに親しみを持ってもらいたいというアイデア。子どもの好きな「揺れもの」を装飾に。ぶつかってケガをしないように角をなくし、丸みを帯びたフォルムは子どもに好かれると考えた。

●黄チーム「ハッピーな存在のロボット」
動物のように、その場を和ませられる「ハッピーな存在のロボット」を製作。
子犬のような細かい動きを再現した。耳があり、握ると柔らかい、優しい素材を使用。目に光を入れて可愛らしさを表現した。

●赤チーム「友達思いのロボット」
泣いている子どもを励ます、「友達思いのロボット」を製作。
はじめは右に左にさまようように動き、泣いている友達を見つける。ロボットは戸惑うも、備え付けの蓋を開けると「がんばれ!」のメッセージが。

2時間で誕生した個性豊かなロボットの共演

ワークショップに参加した生徒たちは2時間で、コンセプトのしっかりした友達ロボットを協力して作り上げた。外観など細部の作り込み不足や、プログラミングの誤作動などはあるものの、初対面の高校生たちが力を合わせ、限られた時間の中で「共創デザイン」の意味を体感したワークショップとなった。特に、自主性や協働などは大学入学後にも求められる要素であり、その先に「共創型リーダー」の女性像が見えてくる。新しい形の体験授業となったのではないだろうか。

デザインの新しい領域の一つである「サービスデザイナー」とは、ユーザーに新しい体験価値を提供するために、サービス・仕組みに関わる人やプロセス・ルールなどの関係性を明確にし、課題抽出から新価値創造までの仕組みを設計する。問題把握のためのユーザーを起点としたリサーチスキルやエンジニアリングへの理解、サービス持続のためのビジネスセンスを持つ人材が求められている。デザインを主軸にビジネス・テクノロジーを横断的に学び、多様な人々と共創する力を育成する女子美術大学「共創デザイン学科」に期待したい。