新設学部・学科情報 学長インタビュー 東洋大学|大学Times

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新設学部・学科情報学長インタビュー
他者のために自己を磨き奮闘する
改革は“建学の理念”を確認するチャンス
~東洋大学~

大学Times Vol.46(2022年10月発行)

新設学部・学科情報 学長インタビュー 東洋大学

東洋大学は1887(明治20)年に哲学者・井上円了が「私立哲学館」として創立。日本が近代国家として生まれ変わる時代に「政治も経済も法律も産業も非常に重要だが、人々の考え方、つまり哲学が重要だ」と提唱した。その理念を今日まで受け継ぎ、時代に則しながら常に本質を追究する研究・教育を行っている。この10年の改革の歩みから、2023、24年に予定している新展開の情報を交え、東洋大学の“理念”と“心”について矢口悦子学長に伺った。

東洋大学 学長 矢口 悦子(やぐち えつこ)
文学部教授 博士(人文科学)
1956年秋田県生まれ。お茶の水女子大学文教育学部教育学科卒業。同大学院人間文化研究科(博士課程)単位取得退学。2003年より東洋大学文学部教授。社会貢献センター長、文学部長・学校法人東洋大学評議員を歴任。2020年4月より現職。日本私立大学連盟の理事、常務理事を務める。専門領域は社会教育学、生涯学習論

「諸学の基礎は哲学にあり」
哲学者・井上円了の建学理念を今に継承

「哲学を学ぶことはすべての学問の基礎となるべき」とした建学の理念『諸学の基礎は哲学にあり』を、私たちは今も大切にしています。特に現代においては、この理念が一層重視されています。コロナ禍における「何が本当の怖さなのかがわからない、その本質は何だろう」という問いは正に哲学的な考察を必要とします。さらに、ウクライナでは軍事侵攻が起こっています。第二次世界大戦以降、新たな国際秩序をめざし、各国がグローバルに交流してきましたが、予想しなかった事態が起きました。こうした事態にどのように対応するか、一人ひとりが深く考えなければならない時です。

21世紀は切れ目なく改革
国際化も最先端技術も哲学に裏付け

改革とは新しいことをするばかりではなく、「何故その学部・学問分野でそのような教育をするのか、どんな学生を育てたくて改革するのか」建学の理念を確認するチャンスでもあるのです。その時代に合った言葉で書き換えても、本質に迫って考えるという姿勢は変わらない。これを繰り返して改革を進めています。この動きを加速したのは、2014年に文部科学省「スーパーグローバル大学創生支援事業〈タイプB〉」(2023年までの10年間)に採択されたことがきっかけです。サブタイトルの「グローバルリーダーが集うアジアのハブ大学を目指して」のもと、グローバル化を全学で推進しています。2017年には3学部(情報連携学部、国際学部、国際観光学部)を新設し文学部に国際文化コミュニケーション学科を設置しています。IoT、AI、プログラミングなど最先端技術を学ぶ情報連携学部を新・赤羽台キャンパスに開設、「なぜこの技術が必要か」「人々の暮らしにどう貢献するのか」、ここにも本質に迫って考えるという円了先生の哲学があります。2021年にはライフデザイン学部を赤羽台キャンパスに移し、社会学部を改組して国際社会学科を誕生させました。

「他者のために自己を磨く」心を具体化
2023年開設の2学部5学科

もうひとつは「他者のために自己を磨き、活動の中で奮闘する」“東洋大学の心”があります。皆がリレーしてきた重みのある“心”を大切にして具体化する2つの学部が、2023年赤羽台キャンパスに誕生します。

福祉社会デザイン学部は、困難を抱えている人や弱い立場の人たちのために何ができるのかを、さまざまな角度から考えることをベースとしています。社会福祉全体を考える「社会福祉学科」、多文化の背景を持つ子どもたちをどう支えるかを実践する「子ども支援学科」、そして「人間環境デザイン学科」で学ぶ建築は、ユニバーサルデザインの発想からすべての人に優しい環境デザインや住空間等の実現をめざし、「地球の未来にプラスの貢献をしたい」という“心”を丁寧に引き継いでいます。

健康スポーツ科学部は、トップアスリートを育てつつ、スポーツの持つさまざまな力をすべての人の健康づくりに、という考えから構想された学部です。本学はこれまでもスポーツに力を入れメダリストを多数輩出していますが、トップアスリートの活躍を通して、社会全体に喜びを与える「スポーツの力」の大きさを実感しています。健康寿命の延伸や、スポーツでさまざまな人を励まし、パラアスリートによって生み出された知見が高齢者にも役立つなど、汎用性を持つ研究成果や知見が得られると期待しています。

理系SDGsの拠点を朝霞キャンパスに
2024年“いのちと食”の2学部を集約

国連が発信したSDGsの目標内容を本学全体の活動と照らし合わせたところ、17すべてのゴールについて意識的に研究している教員がいることがわかりました。すでに研究・教育レベルで進められていることが確認できたのです。本学は改めてその理念に賛同し、昨年6月「学校法人東洋大学SDGs行動憲章」を制定しました。

2024年改組の生命科学部3学科(うち生体医工学科、生物資源学科は新設)を朝霞キャンパスに集約します。同じく食環境科学部3学科(うちフードデータサイエンス学科は新設)も朝霞キャンパスに集約します(下図参照)。“いのちと食”の朝霞キャンパスは理系SDGsの拠点として、フードロスや飢餓対策等、社会貢献できる研究と教育を行います。また、女性のキャリア形成にも有望な分野であり、大学4年間だけでなく、大学院までの展望をもって本学を受験してもらえればと希望しています。


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情報の洪水から学生を救い主体となって情報を取りに行く公式アプリ開発

2020年度、コロナ禍で学生はキャンパスに通えなくなり、オンラインの授業に切り替えとなりました。そこで、学生全員に5万円を給付しPCやWi-Fi環境を整えて、またさまざまな情報を学内から発信しましたが、「情報の洪水で溺れそう」という多くの声が聞こえてきました。これを受け、大学からの情報を一元的に見られる入口として「東洋大学公式アプリ」を独自開発しました。特徴は、学生が必要な情報を「取りに行く」仕組みになっている点です。自分自身の学びの記録を残す「マイジャーニー」を使って履修のアレンジを行ったり、就職活動に利用してもらえるよう、日々アプリを改善し育てていきたいと考えています。

今後は少人数教育も充実していきます。大きな教室で行っていたこれまでの授業は、どこでも受講できるオンラインに切り替え、実験を含めた議論を重視するために、少人数で行う体制を整えていく改革を進める所存です。