入試制度と最新の入試傾向入試部長インタビュー
先駆的な入試改革とWeb戦略によるブランディング。東洋大学の見据えるビジョン
~東洋大学~
大学Times Vol.47(2023年1月発行)

「入口が変われば教育が変わり、教員も含めた組織全体も変わる。そして大学のブランドも変わる」この考えのもと、入口である入試改革を進めて10数年。東洋大学は2022年度、一般選抜受験者数98,276名と全国トップ5に入る実力を見せつけた。先駆的な入試制度や、紙の大学案内を廃止して全てweb化する等といった他大が行わなかった大胆な改革に込められたメッセージ。改革を牽引してきた東洋大学 理事・入試部長 加藤建二氏に改革に込められた想いとこれからについて聞いた。

東洋大学 理事
入試部 部長 加藤 建二(かとう・けんじ)
1987年、学校法人東洋大学入職。教務部、入試部、総務部などを経て、2013年から入試部長。14年から学校法人東洋大学理事。職員生活35年中22年が入試部勤務。13年から紙の大学案内を廃止、オールインターネット出願に移行し、入試情報サイト「TOYO WebStyle」をはじめ、同大の入試改革とWeb展開を牽引する。
受験生へのメッセージ ~入試改革に込められた想い~
入試は「受験生に対する大学からの最大のメッセージ」だと思っています。
入試改革が本格的にスタートしたのは2011年。 2013年はweb出願を開始。それ以降、様々な先駆的な改革を行ってきました。
「入口が変われば教育が変わり、教員も含めた組織全体も変わる。そして大学のブランドも変わる」という想いで、各学部・学科が目指す教育を実現させるために、求める学生へのメッセージを込めた入試改革を続けてきました。
◆改革事例1)経済学科数学必須入試
経済学科において数学必須入試を導入、拡大してきました。一般的には志願者が減ると敬遠されがちでしたが、経済学は社会科学の中でも数学を多用する学問です。入学後の学びを見据え、強い信念を持って実施しました。
10年かけて経済学科一般選抜の約7割がこの入試で入学。高校の先生方からも東洋の経済は数学をやっていないと入れないと認知されるようになりました。現在、他の文系学部にも拡大しています。
◆改革事例2)多教科型入試
4教科・5教科型など多教科型入試を導入したことで学内が明らかに変化しています。
多教科型入試での入学生は、国公立大学を視野に入れて受験勉強をしていた学生が多く、学びへのポテンシャルも高く、出身高校も各都道府県の上位校が目立ちます。そんな学生たちが従来の3教科型で入ってきた学生へ刺激を与え、学内が活性化してきたのです。
最初は1~2学部程度でスタートしましたが、2022年度は志願者約1万名、入学者約400名と言う規模に拡大しました。全員この入試で受け入れたいという学部もあるほど、学内でも好評です。
「各学部・学科が目指す教育を実現させるために、求める学生に入学してもらう」目標に近づいてきました。
◆改革事例3)英語外部試験利用制度
英語外部試験利用制度は2017年度から開始しました。現在は14学部全てで導入しており、志願者の半数が利用しています。
独自試験では1技能(読む)しか測れず、入学後に「話せない」「聞き取れない」問題が起きかねません。
一方、英語外部試験を利用して入学した学生は海外プログラムへの参加率が高いという特徴があります。今後2025年頃には独自試験の英語科目は廃止するかもしれません。
本学はスーパーグローバル大学として海外経験を推奨、用意するプログラムも多岐に渡ります。入学後は積極的に活用し、更に4技能(聞く、話す、読む、書く)を伸ばして欲しいと思っています。

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Web化によるメリット ~誰でもいつでもどこでも~
2013年度に大学パンフレットを紙からWebに切り替え、大学に関するほぼ全ての情報はWeb上に集約しています。誰でもどこでも好きな時に最新の情報が手に入れられることを目指しての改革です。 Webであれば情報量も圧倒的ですし、興味を持った情報も深堀りしてもらえるのがメリットです。
◆改革事例1)TOYO WebStyle
TOYO WebStyleではメンバー登録をすることで、入試に関する情報から、過去問題・解説まで閲覧可能です。
高校教員向けの「高校マイページ」では指定校情報、各種書類のペーパーレス化を図ることができ、高校教員にも好評です。
また、Webサポ―ト=オンラインで個別に入試等の相談が出来るシステムもあり、おかげでコロナ禍でもスムースに対応することが出来ました。多言語対応もしているので留学生でも安心です。
◆改革事例2)Web体験授業
我々は大学の魅力=教員と考え、受験生にはできれば「この先生のゼミや研究室に入りたい」という大学選択をして欲しいと願っています。
そこでスタートしたのが「Web体験授業」。
現在専任教員約800名中、累計640名の授業がWebで体験可能。高校生にも受け入れやすいよう、15~20分の動画にしてあります。
大学の学びを知るだけではなく、高校での文理選択のヒントとしても活用いただいています。
最後に
世間からの印象を変えるには大変時間がかかります。新学部の設置、キャンパス再編、入試制度改革など様々な変革を途切れることなく続けてきたおかげで、本学は「改革力のある大学」と評価されるようになりました。
今後も受験生にメッセージを送り続け、本学の求める人材に選んでもらえる東洋大学でありたいと願っています。これからの改革にご期待ください。