社会科学系3学部が連携する「新ソーシャルサイエンス」 経済・経営・法を学び、一人ひとりにあった進路選択を支援[帝恷R大学]|大学Times

大学Times Vol.13(2014年6月発行)

社会科学系3学部が連携する「新ソーシャルサイエンス」 経済・経営・法を学び、一人ひとりにあった進路選択を支援[帝恷R大学]

古都・奈良の帝恷R大学は今年、創立50周年を迎えた。6学部9学科を擁する総合大学となり、さらなる前進のため、2015年度からは経済・経営・法の垣根を越えたソーシャルサイエンス教育が新たに始まる。「自分の進路が必ず見つかる、TEZ人(てつじん)プログラム」と名付けた学長の岩井 洋氏にその特色について伺った。

2015年4月開設の「新ソーシャルサイエンス」設立の経緯を教えてください

帝恷R大学は、経済学部、経営学部、法学部と、社会科学(ソーシャルサイエンス)系の学部を3学部設けています。しかし、これら社会科学系の学部は、違いが分かりにくい面もあり、高校でしっかりキャリア指導や進路指導を受けていても、ミスマッチが起こりやすい分野です。これから大学進学を考えている高校生の方だけでなく、すでに入学した学生も、進路に悩んでいるケースは少なくありません。例えば、経済学と経営学は何が違うのかを十分に理解できていなかったり、いざ入学してから、別の学部に移りたいということもあります。そういうミスマッチをなくしたい。ミスマッチを感じながら学び続けることは中退やその先の就職にも関係してきます。そこで、社会科学系3学部の特色を初年度にしっかりつかんでほしい意図から、2015年度より新ソーシャルサイエンス教育を始めます。

新ソーシャルサイエンス教育の特徴をお聞かせください

ソーシャルサイエンス 経済・経営・法のトライアングル

1年次に、各学部の垣根を越えて「経済学入門」「経営学入門」「法学入門」を学べる共通プログラムを設けます。これにより、どの学部に入学しても他の社会科学分野を幅広く学んでもらうことができるので、自分の興味や関心、適性を改めて考えることができます。高校から大学に進学し、1年次につまづかないように、スムーズに大学の学びに移行させて自分の方向性を確認させるので、初年次教育の視点からも非常に効果があるものだと思います。

また、一定の基準を満たせば、2年次に望む学部に転学部できるメリットもあります。もちろん、現行の制度でも転学部の規定はあり、単位数などの条件面で厳しいものではありません。しかし、いざ転学部のために志望理由書を書いたり試験などの選考を受ける際、そこで必要になる転学部後の学部の知識は、自力で学習しなければならず、結果的にハードルが高いものでした。それに比べ、今回のプログラムではカリキュラムや学習の面からも転学部のサポートになるのがポイントです。共通プログラムにより、すでに履修した単位が転学部後も無駄にならないのもメリットです。

社会科学系の学部は密接に関係しているので、転学部をしなくても、それぞれの分野を学ぶことは重要です。一般企業に就職しても、法律の知識を持った人材は必要ですし、法学部を出て公務員となっても経済や経営の知識は必要です。幅広く学べることは、社会に出てから強みになるのです。

3学部の垣根を越えた学びには、他にどのようなメリットがありますか?

新ソーシャルサイエンスでは「アドバンス・プログラム」という、難関資格の取得や公務員試験、トップ企業就職など志を同じくするチームを、学部を越えて編成します。これまで、それぞれの学部の教員だけでそれぞれの学部の学生を育てていましたが、これは各学部の成績上位の学生を選抜してクラスを組み、3学部の教員が連携して指導するというものです。文系総合大学ならではの強みを最大限に生かした取り組みだと言えるでしょう。プログラムの受講者は、専用自習室が利用できたり難関資格を目指す課外講座を無料で受講できるなどの様々な特典を用意しています。

帝恷R大学は、プロジェクト型学習も力を入れているようですが、お話をお聞かせください

学生達の企画・立案で完成した「学長ラムネ」と「梅ラムネ」

社会科学系学部だけでなく、本学では全学的にプロジェクト型学習を積極的に取り入れています。例えば産学連携プロジェクトにより、レトロ調の似顔絵ラベルが目印の「学長ラムネ」と奈良県産の「梅ラムネ」(=写真)が商品開発されました。学外でも売れる商品にしたいと学生らが知恵を出し合い、地元メディアでも取り上げられるほどの話題作になりました。

奈良県が実施する「県内大学生が創る奈良の未来事業」でも、本学経営学科の学生グループの提案「Meet 20’s絆プロジェクト 20才の若者の出会いで絆をつくる」が、優秀賞を受賞しました。スマートフォンでゲームをしながら奈良観光を楽しめるアプリが県の予算で事業化されることになりました。当然、新ソーシャルサイエンス教育開始後も、プロジェクト型学習は社会科学系3学部の共通の土壌にしていきたいと思います。

今年は創立50周年ですが、次の50年に向けた抱負をお聞かせください

奈良にある大学として50年間培ってきた知恵と伝統を受け継ぎつつ、これからも常に革新を続けていきたいと考えています。創立50周年という節目に、文学部文化創造学科を開設。奈良に眠る資源を次の50年に生かそうと「奈良まるごとキャンパス」という構想が生まれました。これは、日本の伝統文化が息づく奈良すべてを大学のキャンパスとみなし、地域のためにできることは何かを考える取り組みです。プロジェクト型学習を活かし、自己を見つめる機会を多角的に創ることで意欲や人間的成長を促したい。そして、社会から求められるコミュニケーション力や自分の頭で考える力を身につけてほしいと思います。

岩井洋

【プロフィール】

岩井洋(いわいひろし)

1986年上智大学文学部社会学科卒業、1991年上智大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。
帝恷R大学経済学部教授、副学長を経て、2012年5月から現職。