獣医学共用試験【vetCBT・ vetOSCE】トライアルを実施。より実践的な獣医学教育へ前進[日本獣医生命科学大学 獣医学部長 新井敏郎教授]|大学Times

大学Times Vol.13(2014年6月発行)

獣医学共用試験【vetCBT・ vetOSCE】トライアルを実施。より実践的な獣医学教育へ前進[日本獣医生命科学大学 獣医学部長 新井敏郎教授]

平成28年度より、全国の獣医学部生が共通で受験する「獣医学共用試験」が導入される。平成25年度からそのトライアル試験が各獣医系大学で実施され、本格実施に向けて準備が進んでいる。

実践的な獣医師育成のための共用試験

社会の要請に応えうる実践的な獣医師の養成のためには臨床・公衆衛生・獣医衛生分野の「参加型実習」の実施が必要である。そこで全国獣医学関係大学代表者協議会では、参加型実習を行う学生の質の確保と保証のための方策について獣医学共用試験調査委員会を設けて調査検討し、医学・歯学・薬学の手法を参考として「獣医学共用試験」の開発を進めるべきとの結論に至り、現在平成28年度の本格実施に向け準備を進めている。

獣医学共用試験はコンピュータ上で知識評価を行うvetCBT(veterinary Computer-Based Testing)と獣医臨床における診察技能・態度を評価するvetOSCE(veterinary Objective Structured Clinical Examination)の2つの試験で構成される。平成28年度の本格実施までのロードマップとして、まず平成25年度に数校でトライアルを実施し、平成26年度ではほぼ半数の大学が、そして平成27年度にはすべての大学でトライアル試験を実施する予定となっている。

vetCBT パソコンとタブレットで試験実施

まず全国の獣医系大学の先陣を切ってvetCBTを実施したのが日本獣医生命科学大学である。平成26年1月に5年次学生85名を対象として5時間で300題のvetCBTを実施した。受験端末はiPadを使用し無線LANの環境下で実施した。大きなトラブルもなく、初めてのトライアル試験としては満足のいく結果が得られた。

続く2月には麻布大学において4年次学生136名を対象に2時間で120題のvetCBTトライアルが実施された。受験端末としてはデスクトップ型PCをメインに使用し、一部をiPadで実施する併用型の実施であった。ここでも大きなトラブルなくトライアルを終了することができた。今後は、この2校のデータを元に各大学ではvetCBTの導入方法(タブレット型、デスクトップ型あるいは併用型にするか)を選択していくことになるであろう。

獣医学の知識を計るCBT試験と診察技能・態度を計るOSCE試験

実践に近い獣医療面接を行うvetOSCE試験

一方、vetOSCEは獣医臨床における診察技能・態度を評価する試験であり、参加型実習を行う上で必要な技能が備わっていることを客観的に評価するための試験である。とくにvetOSCEでは診察技術だけでなく、コミュニケーションスキルとしての獣医療面接を重視していることが特徴である。その獣医療面接において先駆的な取り組みを進めている日本獣医生命科学大学が、これもまた日本初となるvetOSCEトライアルを実施した。4月19日に6年次学生49名で行ったvetOSCEトライアルでは、学生は決められた時間毎に特設ブースを移動し、診察手技、調剤、外科的手技などの課題をこなしていった。さらに大学付属動物医療センターの診察室を使って、標準クライアント(事前に訓練を受けた飼い主役)に対して診察を行う獣医療面接試験を行った。初めて行われる実技試験に緊張して、思ったように力を発揮できない学生もいたようである。今後は、学生が存分に実力を発揮できるように、シミュレータを利用して実技訓練を繰り返し練習できるような場所を提供するなどの対策も必要であろう。

まだまだ発展途上の獣医学共用試験ではあるが、こうしたトライアルを重ねることにより、よりよい共用試験システムの構築が進むことが期待される。平成28年度から本格施行される獣医学共用試験は社会のニーズにより適合した獣医師を送り出すためにも重要な役割を果たすであろう。