−就職活動時期の変更問題から国家試験対策まで−薬学部学生を取り巻く現状と対応【明治薬科大学の対応事例】|大学Times

大学Times Vol.13(2014年6月発行)

−就職活動時期の変更問題から国家試験対策まで−薬学部学生を取り巻く現状と対応【明治薬科大学の対応事例】

第99回薬剤師国家試験の全国平均合格率は60.84%、6年制新卒合格率は70.49%と過去19年間で最も低い水準となった。巷間では薬剤師の数を絞るために、試験のハードルを上げたとの噂や学生の資質の問題、大学教育の真価などが様々な方面で議論されている。
こうした中でも、全国平均を上回る合格率で全国7位、関東圏においては三傑に食い込んだ明治薬科大学。
同大のキャリア支援課高沢千鶴子課長に、昨年文部科学省より通達された就活時期の変更問題、国家試験結果など薬学部学生を取り巻く現状について話をうかがった。

学習意欲が高い学生、それに応える教員とキャリア支援

2015年4月、新しいコンセプトの工学部を新設(届出書類提出中)

― 今回の国家試験の合格率は全体的な低水準にも関わらず、貴学は84.72%という好結果を残しましたが?

高沢課長:学生と教員が一丸となって国家試験に臨んでいますので、それがトータルの結果として今回の合格率になって表れたのだと思います。本学は医療人の教育を謳っており、実務実習以外にも7コース独自研修カリキュラムという、実践的な臨床プログラムを実施しています。多くの時間を使って厳しいカリキュラムをこなし、かつ国家試験対策に取り組んでおり、その積み重ねがあったからこその成果だと思います。薬剤師を目指している学生は学習意欲が非常に高いので、そこが最大の原動力になっているのだと思います。

― 今回の試験の傾向は?

高沢課長:本学の国試対策の担当から聞いた話ですが、これまでのように過去問を解いて丸暗記して太刀打ちできるような問題ではなくなったようです。また、医療データを読み解く、応用力が問われるような難題もあったそうです。6年制移行の主眼は実際の医療現場で判断を問われても、即座に対応できるような薬剤師を養成することなので、それに相応した実際的な問題が出題されたのかと思います。医療現場は常に進み続けていますから、国家試験もそれを意識していることは間違いなさそうです。

6年制になってやっと3回目の国家試験ですから、これがずっと定着していくかどうかは判断できない面もありますが、問題の難易度が下がることはないと思われます。ですから今後を見据え、キャリア支援も含めて、変化に対応できるような指導を続けていかなくてはと考えています。

― 今年の卒業生の進路は?

高沢課長:平成26年4月1日現在のデータで回答させていただきます。6年制(薬学科)、4年制(生命創薬科学科)の就職率はともに95%以上に達しています。内訳は、6年制(薬学科)は薬局と病院が各々ほぼ同割合の約38%、企業は15%程度、公務員が6%という状況です。4年制(生命創薬科学科)は、大学院進学が65%、企業が30%程度となっています。

過去の6年制の一期生(H24卒)、二期生(H25卒)のおおよその進路の割合は、薬局4割・病院3割・企業2割・公務員及びその他1割という傾向がありました。しかしこの三月に卒業した三期生は病院志望者が増加しました。

また、企業ではMR(医薬情報担当者)がいちばん多いという結果になっていますが、昨今ではCRO(医薬品開発業務受託機関)も数を伸ばしてきています。また、レジデント制(病院等で薬剤師の養成を目的とした研修制度)という選択肢もありますが、本学の学生は専任で勤務したいという意欲が強いせいか、レジデントを希望する学生はそう多くはありません。

― 昨年、文科省から就活時期後倒しの通達があったが対策は?

高沢課長:過去にも就活時期がずれるということはありましたので、それなりの対応とノウハウは蓄積されています。けれども、短期決戦の就活を強いられるため、製薬会社への就職が減るかもしれないという懸念材料はあります。

その他としては、今まで企業の就職活動を行ったあと、薬局を受けたり、8月からは病院の求人も始まるのでそちらを受けたりする学生もいたわけです。そういった余裕がなくなってしまうのが学生たちにとってマイナスかもしれません。さらに薬学科に対しては国家試験への影響が大きいのではないかと思っています。

本学の国試対策は10月から始まりますので、企業の選考が8月解禁になると、企業志望者は8月?9月で内定を得られなかった場合は、一度、就活に区切りをつけて国試対策に専念し、国試後に就活を再開することになるのか、国試対策と平行して就活を続けるか、まだ状況は読めない段階です。病院の就職活動は、ほぼ従来通りなのでスケジュール的には問題ないかと思います。

この就活時期後倒しの件については、学生たちが焦ってしまわないようにキャリア支援課で早めに情報を提供していかなければならないと考えています。就職支援については年内スケジュールを変えずに早い段階からサポートしていきます。就職活動は、始まったらあっという間でしょうから、できるだけ機会を捉えて指導していきます。

COC事業採択学校の取り組み※(株)さんぽうアンケート協力校

薬剤師として麻薬捜査官、保健所指導員への道もある

― 薬学部の魅力について

高沢課長:薬学という分野は、薬が中核になり、薬をつくる創薬という立場、薬を使う立場、薬を流通させる立場という3つのアクセスポイントがあります。近年、高齢化・情報化社会が進み、医療情勢は変化してきていますが、この社会的課題に向き合っていける、やりがいのある学問でもあります。

薬剤師の職場をイメージした場合、病院・薬局がすぐ思い浮かぶと思いますが、創薬研究という面から研究者になるという選択肢もあります。意外に知られていないのが、企業の中で働く薬剤師です。数は少ないのですが、医薬品を製造・管理する場所には薬剤師を置くことが法律で決められているため、企業の中で管理薬剤師として勤務する場合もあります。また、これもあまりご存じないかと思いますが、麻薬取締官や保健所などで公務員として行政的指導にあたるニーズもあります。

また、医療系大学の就職先は医療現場という分野に絞られることが多いですが、薬系大学の就職先は病院、薬局、企業、公務員と選択肢が多く、いろいろな進路が考えられます。同じ医療系でありながら、ここが医療系大学と薬系大学の違いだと思います。

このように薬学は実にさまざまな将来の可能性を秘めています。その点についてぜひ、高校生のみなさんに知っていただければと思います。