大学Times Vol.21(2016年7月発行)

上智大学のグローバル教育は、ひとことで説明するのは難しい。まさにグローバルな視点から多種多様な科目やプログラム、イベントが提供され、さまざまな視点からサポートする組織や制度と融合して、それらを選び、学び取る学生ごとに個性豊かな「グローバル教育」が設計される仕組みになっているからだ。学生たちは世界への道を自分の個性を生かして生かしてパワフルに歩む。それを後押しする上智大学の取り組みとは――。
グローバル人材には地理的な世界だけではなく、学びの分野でもグローバルな発想が大切だ。上智大学では複数の視点からグローバル社会に対応する科目やプログラムが多数用意されている。 学科に限定されずに全学生が履修できる科目群には、専門性を生かした科目のほかに、国際関係、国際協力、教育、ビジネス、メディア、環境等、幅広い分野の科目をグローバル教育センター(下の囲み参照)が提供している。この中には英語による科目も多い。
また、半数以上の学生がクロスリスティング(他学部・他学科履修)によって学びの境界を乗り越えている。英語力の要件さえ満たせば、すべて英語で行われる国際教養学部の科目が一部履修可能だ。
上智大独自のものとして目立つのは、グローバル化対応能力を身に付けるためのグローバル・コンピテンシー・プログラム(GCP)だ。「国際協力」「グローバル・ビジネス」「グローバル・メディア」「グローバル・アクション」の4コースが用意され、実践的・実務的で高度な教養教育プログラムとして知られている。
その他、国際機関やグローバル企業とのシンポジウム、海外の要人、著名人などの講演会も多数開催され、学際的思考を養成する環境は恵まれている。

将来を考えると悩みは尽きない。特に世界へ出て行こうとする学生には特別なサポートも必要だ。
上智大には、留学全般の知識、留学前後のステップから留学をいかに将来のために活用するかなどについての相談に応じる専門の留学カウンセラーがいる。
さらに、「国際協力人材センター」(上記図参照)では国際協力分野を目指す学生のために、科目履習からキャリアに関するサポートを続けている。
上智大では英語を含めて22もの言語が学べる。複数の言語を修得することは世界の多様性を理解し、本当に必要な、英語にこだわらないコミュニケーション力を身に付ける助けにもなるだろう。
上智大の英語の学習方法は「CLIL(内容言語統合型学習)」と呼ばれる新しい方法で、専門の学びと英語の語学学習を結合した新しい方法だ。英語で知識を学びながら批判的思考力を鍛え、協働力を磨き、国際的視野を広げる。
語学の面だけでも、LLCの利用や相談などのサポートが豊富だ(囲み参照)。
さらに、英語を介しての異文化交流の機会として上智大にはボランティア団体GL-Net(Global Network)があり、留学生と日本人学生が交流するためのイベントを行っている。また、上智大学祖師谷国際交流会館という学生寮には、約40カ国200名の外国人留学生と100名の日本人学生が居住していて、ふだんから国際交流・コミュニケーションの機会が多い。

GCPと並んで上智大のグローバル教育の柱として知られているのが「インターンシップ科目」だ。インターンシップ(就業体験)は、通常企業が公募するプログラムに各自で応募するが、上智大では有数のグローバル企業、国際機関の日本代表部、国際協力団体、報道機関、シンクタンクなどと協定を結び、上智の学生のために特別にインターンシップの機会が提供され、全学共通科目として2単位を取得することができる。
下の表は上智大のインターンシップにおける実習先の例である。特にボルボグループは、上智大が日本で初めて産学協定連携を締結した国際企業であり、欧米やインドなど海外拠点での長期インターンシップの機会もある。
また、メディアを目指す学生にとってひときわエキサイティングなのが共同通信社のニューヨーク支局、ワシントン支局、トムソン・ロイターのニューヨーク支局でのインターンシップだろう。世界が今直面する課題を肌で感じながらの経験は国際ジャーナリストへの入口に立つ学生にとってはこれ以上ない経験となる。
「世界で挑戦するために備えておくべきこととは」という問いかけには、じつははっきりした答えがない。挑戦の内容や個人によって千差万別であって、単純にこれと限定することができないのが本当のところだ。
だからこそ、教育側ができるだけ多彩多様な選択肢を用意し、学生一人ひとりがその中から選び取り設計していくアプローチこそ、グローバル教育の形に適しているのかもしれない。
