【大学入学者選抜改革特集】アンケート調査|大学Times

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大学Times Vol.30(2018年10月発行)

【大学入学者選抜改革特集】アンケート調査

株式会社さんぽうは、文部科学省が進めている「高等学校教育改革」・「大学教育改革」・「大学入学者選抜改革」の3つの柱で構成される高大接続改革実行プランのうち、「大学入学者選抜改革」について、高校進路指導現場における現段階での認知度や対策の状況を明らかにするため、「大学入学者選抜改革に関するアンケート」を実施した。主な集計結果を以下の通り紹介する。なお、校務ご多忙の折、アンケートにご協力いただきました先生方には深く御礼申し上げますと共に、アンケート全項目の集計結果(A4サイズ14ページ分)を郵送にてお送り致します。

【調査概要】

●調査目的
大学入学者選抜改革について、高等学校の進路指導現場における認知度や対策を明らかにする。

●調査方法
配付回収:FAXによる配付・回収
調査対象:高等学校進路指導部5,054校(全国:全日制・定時制・通信制・サポート校など)
調査時期:2018年7月11日〜8月23日
回答枚数:533枚(回答率10.5%)

●地域別 回答校数
北海道・・・35 東北・・・54 関東・・・112 中部・・・106
近畿・・・87 中国・・・39 四国・・・23 九州・・・77 
合計・・・533

【アンケート集計結果】

問1.大学入学者選抜改革の内容についてどの程度知っていますか。

大学入学者選抜改革特集

問2.貴校の生徒が新たな入試に対応するための課題は何だと考えますか(複数回答可)。

ポートフォリオの作り方・書き方を課題とする意見が多数(76.7%)。「思考力・判断力・表現力」の醸成は必要だが、改めて学力の基礎を身につけることの重要性を訴える声も。

大学入学者選抜改革特集

多くの選択肢で過半数を超え、入学者選抜改革における課題は多岐にわたることが判明した結果となった。なかでも「ポートフォリオの作り方・書き方」・「思考力・判断力・表現力を問う問題への対応」が7割以上、「英語4技能への対応」が7割程度と目立っている。入学者選抜改革は様々な要素が同時に見直されるため、一つの課題を乗り越えればよいと言うものではない。そのため、複数の事柄について情報を収集して理解し、生徒を指導していかなければならない状況に高校現場での対応の難しさがあるだろう。

「多面的・総合的な評価」として様々な観点から評価される入試に変化していくなかで、主に主体性の評価を担うポートフォリオの作り方・書き方が不透明であるとする意見が多い。ポートフォリオにおいては1学年からの「学びの履歴」を蓄積していく必要があるため、今すぐにでも取り組みを開始したいという現場の状況を反映しての結果だろう。しかし、e-Portfolioに記録を残すのか、紙ベースで残すのか、またその手法について悩む高校も多いのが現状だ。

「思考力・判断力・表現力を問う問題への対応」についても課題として挙げる意見が多いことから、その必要性と重要性は認識されていることが伺える。しかし、高校ではこれまで主にチョーク&トークで授業が展開され、入試の内容も知識の有無を中心に問う内容だったことにより、思考力・判断力・表現力を養う授業の在り方に課題を残しているのではないだろうか。自由記述回答においては、思考力等を養う授業の展開にはそもそも基礎的な学力が必要との声もあり、いかにして学びの基礎・土台となる知識を早期に身につけさせるか、授業改善・カリキュラム改善を含めた仕組みづくりが課題との意見がみられる。他にも、教員全体で入試改革についての理解を深め、日ごろの指導を行う必要があると、現場での意識に関する意見もあった。

問3.貴校で大学入学者選抜改革への対策として取り組んでいることはありますか。ある場合は、それぞれ具体的にご記入ください。

※回答数が2以下の場合はその他として集計

大学入学者選抜改革特集

@調査書の様式変更とポートフォリオの活用においては、「紙ベース(=25.8%)」が最も多い回答であった。これにはJAPAN e-Portfolioのような公的なシステムの導入が各自治体や高校まかせになっている状況が要因と思われる。今回の調査書変更が教員にとって大きな負担になることが懸念されているなか、有効な対策がない状況に各関係機関は一計を案じるべきではないだろうか。

大学入学者選抜改革特集

A大学入学共通テストの対策には、日頃の学びの積み重ねが必要だと考えられているようであった。しかし、問われる能力が変わる以上、普段の授業や定期テストでより思考力や表現力を養う要素を盛り込んでいく必要がありそうだ。

大学入学者選抜改革特集

B民間英語検定・資格試験への対策では「英検(=68.6%)」と「GTEC(=58.1%)」が目立つ結果となった。以前より高校現場で馴染みのあったツールが対策として選ばれているようだ。

大学入学者選抜改革や各大学の取組についての意見や要望、疑問点(抜粋)

  • ●全容が未確定な状態での対応のため不安感が増えている。生徒の進路目標が消極的にならないような対策が必要だと考える。
  • ●民間の英語資格を公的な性質の大学入試に使う点で公平さに問題がある。また、受検するために保護者の金銭的負担がかなり増える。
  • ●大学入学共通テストの実施により学力の低い生徒は進学を諦め、格差が広がっていくと思う。
  • ●一般入試において調査書の内容で主体性を評価して得点化するという大学が増えつつあるが、公平性・客観性という観点から見て大いに疑問がある。
  • ●大学入試改革の根底には高等教育と大学教育との溝を埋めることがあったかと思います。入試を改革することで大学の在り方、高校の在り方を見直す絶好のチャンスだとは思いますが、もう少し大学と高校の距離を縮めるような工夫はないものだろうかと考えます。そうした試みがないわけではありませんが、もっとクローズアップされてもよいのではないかと思います。

大学入学者選抜改革の理念そのものには一定の理解を示す意見が多いものの、現場で生徒を指導するためにはあまりにも情報が不足しているとする意見が顕著にみられた。各大学の対応を含め詳細が不透明であることにより、高校の現場では生徒を目の前にして具体的にどのような指導を施せばよいのか見通しが立っていない状況にある。

多くの大学は高大接続改革に対して具体的な対応を検討している段階であり、大きな改革であるがゆえに大学内で様々な調整が必要になるとはいえ、すでに対象学年が高校に入学している現実がある。高校側の視点に立つと、様々な希望をもった生徒に対して適切な進路指導を行うためには情報が鍵になる。高校・大学とも、教育改革はこれからの社会を支える若者のためにあるという視点に立ち、まさしく「接続」を強く意識した改革への取り組みを力強く、かつ円滑に進めて頂きたい。

大学入学者選抜改革に関する高等学校教員アンケート全集計結果

大学入学者選抜改革に関する高等学校教員アンケート
全集計結果(PDF)

『大学入学者選抜改革に関する高等学校教員アンケート全集計結果』は、2018年10月号のアンケートにご回答いただきました方限定に発行するパスワードをご入力いただければ閲覧することができます。アンケートはトップページのバナーからご回答いただけます。