大学Times Vol.13(2014年6月発行)

1924年、関東大震災直後の文京区本郷で、女性に技術を教える私塾としてスタートした文京学院。1959年には保健医療技術学部の前身となる「医学技術者養成選科」を開設し、以来、医療人の育成に力を注いできた。創立90周年となる2014年、保健医療技術学部に「看護学科」を新たに設置。そこで、看護学科の学びの特徴、目指す看護師・保健師像について紹介する。
急激に進む高齢社会のなか、高齢者の介護はもちろん、患者の療養の場も地域や在宅へ広がっている。そこで、地域を中心に多様な場面で他職種と専門性の高い医療チームを組み、質の高い看護サービスを提供できる看護師や保健師が社会で求められている。看護学科では、看護師・保健師という確かな資格とアイデンティティを持って地域に入り込み、チーム医療を現場で動かしていく看護師・保健師を育てていく。
また、保健医療技術学部では、理学療法士・作業療法士・臨床検査技師の国家資格で高い合格率を達成している。さらに、人間学部には保育士・社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士・臨床心理士を目指す学生もいる。これらの他学部・他学科との連携をはかり、チーム医療を想定した学びの環境で、協働する力を身につけていく(下図参照)。

地域で連携しながら展開していくチーム医療の一翼を担う看護師・保健師になるためには、患者一人ひとりがどのような地域でどう生活しているのかを理解した上で、どのようなサポートができるのかを考えることが大切である。そこで、看護学科では、キャンパスの外に積極的に飛び出し、街の人たちから学ぶ場を提供している。
看護学科の学生が1年次に通うふじみ野キャンパスでは、高齢者との交流や障がい児支援など地域に根ざした福祉活動が行われている。地域で生活している方々とふれあい、様々な営みを学ぶことを大切にしている。2年次からの本郷キャンパスでも、地域の人たちと触れ合いながら、人を理解し、生活を理解していく。
4年次の外来看護学実習では、病気を抱えながら地域で生活している方のために病院の外来から支援するあり方を考え、学んでいく。さらに、4年次のカリキュラム「チーム医療論T」では、それぞれの学科で専門職を目指して学んできた保健医療技術学部の4学科の学生がチームを組んで様々な事例に取り組んでいく。また、保育、福祉、心理系に及ぶ多様な専門職を育成している人間学部の学生をはじめ、経営学部や外国語学部の学生ともキャンパスを共有することで、看護のアイデンティティを確かなものにできるとともに、自分とは違う専門性を尊重できる姿勢を培うことが可能となる。
看護専門職には、専門的な技術が必要である。患者に適切な看護を提供するためには、目の前にいる患者の状態を的確に把握する技術(フィジカルアセスメント力)が必要不可欠である。そのため、様々な人体の状態、たとえば、心臓に問題が生じている状態などを作り出すといったシミュレーションモデルを存分に活用できる環境を整備。自分のアセスメント力に自信が持てる看護師・保健師になれるためのサポートを行っている。また、痛くないケアには、優れた技術が求められる。採血にしても上手な看護師が針を刺すのと、下手な看護師が刺すのでは患者さんの痛みに差がでてしまう。早くできるようになることではなく、正確にできることを大切に確かな看護技術を身につける。
なお、2年次から4年次まで通う本郷キャンパスは東京のほぼ中心に位置し、都内の様々な場所へのアクセスも便利な都市型キャンパス。2014年に完成した「新S館」には、9〜11階に看護フロアが併設されている。9階の全フロアは看護実習室になっており、学生2名で1台のベッドを利用してトレーニングできる環境を整備している。加えて、自分の技術演習を撮影し、評価・分析して次のトレーニングに活かせるモニタリングシステムや、様々な状態を想定して看護できるシミュレーションモデルも完備。学生一人ひとりが自らの技術・実践力を高められる学習環境が充実している。
2013年7月、文京学院大学は130年の歴史を誇る日本最古の私立医科大学・日本医科大学と「大学間連携協力協定」を締結。看護学科では、日本医科大学関係4病院を中心に、看護専門職者のキャリア形成に力を入れ、人を大事に育てていること、地域医療など時代のニーズにしっかり応えているといった独自の基準をもって厳選された実習先を揃えている。個々の看護師がそれぞれの専門性を生かして看護を提供している現場で、看護の技術的なノウハウを学ぶのはもちろん、看護の素晴らしさが体感できる。
本郷キャンパスのある文京区は歴史的にも日本のメディカルタウン(=日本の医療の中心地)として優れた医療機関が多いことで知られている。看護学科では、この地域と連携しながら、豊かな人間性と、確かな技術を持ってケアを実践する力で、一人ひとりに寄り添うことのできる看護専門職者を育成していく。