【「大学と地方創生」特集】大学の地域貢献と地域人材育成の「いま」|大学Times

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大学Times Vol.17(2015年6月発行)

【「大学と地方創生」特集】大学の地域貢献と地域人材育成の「いま」

【山梨大学】
「ワイン・フロンティアリーダー養成プログラム」

国内唯一の「ワイン科学」教育・研究施設を活かし日本ワインの品質向上と産学連携で ワイン事業のブランド化・グローバルスタンダード化を推進するリーダーを養成

ワイン産業に不可欠な「ワイン科学」

ブドウは世界で生産される果物の中で最も生産量が多く、その大半はワインへ加工されている。ワインの品質にはブドウの栽培から醸造、貯蔵・熟成、流通まですべての段階が大きく関わり、ブドウ栽培学(Viticulture)、ワイン製造学(Enology)と呼ばれる学問が発達した。これを総称して「ワイン科学」といい、ワイン産業が盛んなフランス、イタリア、アメリカ、オーストラリア等では大学に「ワイン科学学部」や「ワイン科学学科」が設立されており、世界中で活発な教育・研究活動が行われている。

地域産業としてのワインと山梨大学の取り組み

山梨県はブドウ収穫量全国1位であり、国産ワインの発祥地として日本のワイン産業をリードしてきた。山梨大学では昭和22年に工学部の前身である山梨工業専門学校に、果実酒を専門に研究するわが国唯一の研究機関として附属発酵研究所を設置。発足当時は山梨県特産品であるワインの品質向上を目的として、ワインの微生物学ならびに醸造学の基礎研究を地域と密着して行ってきた。平成12年の改組に伴い発酵化学研究施設を廃止し「ワイン科学研究センター」を新設。現在は先端的な細胞工学や遺伝子工学技術を駆使した基盤研究から、最新のブドウ栽培ならびにワイン醸造の実用研究まで包括し、日本のワイン科学の教育・研究拠点として今日に至っている。

社会人の学び直しと地方創生

このたび、平成26年度文部科学省の「高度人材養成のための社会人学び直し大学院プログラム」事業として「山梨大学ワイン・フロンティアリーダー養成プログラム」が採択された。これまで行ってきた「ワイン人材生涯養成拠点」事業を基に、新たに重層的でより高度な大学院カリキュラムを導入し、大学と山梨県、地域のワインメーカーが連携して地域ワインのブランド化およびグローバルスタンダード化を推進するリーダーを養成することを目的としている。(別図参照)

本プログラムを受講することにより、高品質ワインの製造能力をはじめ国際競争力、経営能力などを総合的に身につけることができる。修了したフロンティアリーダーたちの活躍により、各ワイナリーの製造技術が向上し経営基盤が安定するだけでなく、日本ワインのブランド化や輸出量増加、コンクール入賞の増加などにつながり、ひいては農業や観光産業の活性化などが促進されるなど総合的な産業の発展が可能となる。

政府の政策とも合致

日本政府が政策として行うテーマのひとつに「地域資源で稼ぐ地域社会の実現」があり、これに基づく事業が「農林水産業の6次産業化の推進」で、ワイン産業もこれに該当する。日本のワイナリーが製造するワインの技術を向上させ、世界的な市場で勝負できるようになるために高度なワイン製造技術を有する社会人技術者を輩出するプログラムである。本プログラム修了者は認定試験に合格すると「山梨大学ワイン科学士」の称号が授与される。 尚、本年度は平成27年5月より平成28年1月まで、140時間の講義ならびに実習カリキュラムを予定している。

産学の役割分担および支援体制

【教育内容】

◆高品質ワイン製造カリキュラム
1.ワイン醸造学/2.ブドウ栽培学/3.ワイン品質管理学

◆新ブランド化カリキュラム
1.デザイン学/2.ワイナリー経営学/3.ワイナリー演習/4.ソムリエ学

◆国際競争力強化カリキュラム
1.ワイン評価学/2.ワイン法律学/3.国際ワイン学/4.日本ワイン学/5.海外(オーストラリア)研修