大学Times Vol.17(2015年6月発行)

市立大学時代からの蓄積が活きる「学生と市民との交流」は、共に学び成長する場として新たな扉をひらく
都留市人口のおよそ10人に1人は都留文大生。それだけに地域の人々とのつながりには、他では味わえない温かさがあるという。
都留文科大学地域交流研究センターは、「地域の大学」としての蓄積をもとに本格的に地域と向き合い、地域との共同的な研究・教育活動を進めるための拠点として2003年に発足した。活動内容として、次の4つを掲げている。
①地域交流に関するプロジェクトの推進
②学校の先生方などの教育相談
③地域のニーズに応えた貢献活動
④さまざまな地域交流の連携の推進
すでに12年の活動実績があり、今では本学の特色を示す象徴的な機関として位置づけられるまでに成長を遂げてきた。昨年度実施された大学基準協会による認証評価の結果においても、本センターの活動内容が社会連携・社会貢献に値し、都留文科大学の特記すべき長所として高く評価されている。
1953年に創立した都留文科大学は、教員養成の大学としても知られている。初等教育学科自然環境科学系化学ゼミでは、地域の谷村第二小学校で放課後、子どもたちと学生が一緒に理科実験をする活動「谷二(やに)ラボ」を実施、今年で4年目に入った。布石となったのは、2009,2010年に大学構内で実施した市民公開講座「夏休み親子で楽しい自然・科学教室」。化学ゼミも講座のひとつを担当し、内容の選定から準備、当日の進行の大部分を学生が行ったところ「もっとやってみたい」という声があがったという。
「教員になったら、実験を多く取り入れた理科の授業をしたい」と考える学生は大勢いるが、小学生とともに実験を行う機会や、模擬授業などの機会も限られている実状がある。また小学生と一緒となると、学生がよく勉強するという一面をみた担当教員が「学生の自然科学への素養を高める動機づけになる」と感じ、さらに大学内での公開講座で参加者集めに苦労した経験も踏まえて、地域の谷村第二小学校へ定期的な理科の出張実験教室を打診したところ「双方にメリットがある」と校長・教頭両先生が理解を示し、スタートの運びとなった。

年間3〜4回の実験教室で取り上げたテーマはシャボン玉をはじめ入浴剤、瞬間冷却材、鶏卵、サインペンなど、子どもたちにも身近なもの。実験を担当する学生たちも安全面などには充分に配慮をしつつ、子どもたちを喜ばせたいと実験材料なども工夫を凝らしている。当日は指導をするというよりも「皆で楽しみながら疑問を解明していく実験教室にすることができた」と感想を記すなど、教育実習やSAT(学生アシスタント・ティーチャー)とは違った質のものになっているという。また「身の回りの生活にも化学が役立っていることを学ぶことで1人でも多くの児童が化学に興味を持ち、自由研究などで深めてくれること」を願う声もあがっている。

「谷二ラボ」スタートから二年後、実験教室に参加した学生が「南都留地域教育フォーラム」で谷二ラボの活動について発表する機会があった。また、小学校教員となった卒業生が理科実験クラブの顧問を務めるなど、新しい広がりをみせている。。
COC(地(知)の拠点)推進機構も立ち上がり、地域貢献・地域連携事業がますます重要視される中、「地域交流研究センター」の役割は発足当時より更に重責を持って期待されてゆくだろう。なお、活動報告は「地域交流研究年報」や「地域交流センター通信」として定期的に刊行されている(本学ホームページにて閲覧可能)。