【「大学と地方創生」特集】大学の地域貢献と地域人材育成の「いま」|大学Times

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大学Times Vol.17(2015年6月発行)

【「大学と地方創生」特集】大学の地域貢献と地域人材育成の「いま」

【山梨県立大学】
地域戦略総合センター「甲州市魅力発信事業」

グローカルな地の拠点として自治体と連携し、地域の諸問題解決に向けて学生とともにアクティブに行動する

深刻な人口問題を抱える甲州市

山梨県の北東部に位置する甲州市は、日本ワイン発祥の地をはじめ豊かな自然環境を活かしたブドウ、モモ、スモモ、サクランボ、干し柿など果物の名産地としても知られている。平成17年の国勢調査では約36,000人だった人口が、平成22年は約34,000人とわずか5年で2,000人も減少した。市が行った人口推計では今後も減少が続き、11年後の平成36年には30,000人を割るという試算がなされている。

人口減少の要因として、全国的な少子高齢化に加え、進学や就職による若者の転出や世帯形成の多様化に伴う若年ファミリーの転出など、働き手や地域活力、納税・社会相互扶助などに直結する年齢層の流出が後を絶たないという。市は平成25年に「甲州市人口対策本部」を設置、全庁をあげて人口対策に取り組んでいる。

「甲州市の魅力を伝える事業」に参画

甲州市の「人口対策緊急プロジェクト」の優先施策のひとつとして「甲州市魅力発信事業」が採択された。これは市役所の若手職員からの提案事業だった「地域密着型無料情報誌発行事業」を研究・拡大させたものであるが、この事業を山梨県立大学が共同で実施している。

地域志向を強化したハブ組織
「地域戦略総合センター」

山梨県立大学では、地域課題の解決をはかるためには学内外との連携を強化し、地域志向を強化した教育・研究・社会貢献活動を足並み揃えて取り組むことが重要と考え、平成25年9月既存の地域研究交流センター内に学長直属の全学的な取組組織「地域戦略総合センター」を設立した。具体的には、学内外のハブ機能として以下の業務を行っている。

①フューチャーセンター(対話の場)の運営と地域活性化政策の立案支援
②地域、連携機関、学内との各連絡調整会議の運営
③地域志向教育研究プロジェクトの推進支援
④評価委員会の運営
⑤調査研究機能 など

学生と市が共同で制作する情報誌
「甲州らいふ」

山梨県立大学

「甲州市魅力発信事業」で行う市のフリーペーパー(無料情報誌)制作やWebの情報発信などは本学の学生が市のプロジェクトチームと一緒に取り組んでいる。メンバーは全学から募ったが、予想をはるかに超える学生が手を挙げたという。

甲州市無料情報誌「甲州らいふ」制作に先立ち、編集会議では甲州市の人口問題の現状と課題の説明で情報を共有し、カメラ撮影や取材ライティング・誌面のデザインワークの講義を重ねて、取材活動を開始した。

学生の感性を活かした誌面づくり

本学の学生プロジェクトチーム「甲州らいふ♪つたえ隊」の活動は、平成26年9月に東京で催された「ふるさと回帰フェア」での聞き取り調査や、他地域から甲州市へ移住した住民への取材、甲州市内での農業体験などのフィールドワークを実施、誌面作りに反映させている。「甲州市に住んでよかったという言葉を聞いているうちに、気づいたら私たちも甲州市を大好きになっていました」という所感が印象的に添えられているように、学生たちが自分たちの目線で甲州市のまちとその地に暮らす人々と真剣に向き合い、魅力を発見し、自分たちの言葉で発信している。

昨年、「ふるさと回帰フェア」を主宰するNPOが発表した移住先人気ランキングで山梨県が初めて1位に選ばれた。中でも20〜40代の若者の相談も増えており、就労の場を意識しているという。大都市圏に近く自然環境に恵まれた山梨県内の各市が当地の魅力を積極的に発信し広く伝えることは、課題のひとつである若者や若年ファミリー層への移住アピールに着実に繋がっていくことが期待される。また学生にとっては在学中から地元自治体のプロジェクトに関わり、深く地域と向き合いながら学業を実践に移す格好の機会となっている。

山梨県立大学