大学Times Vol.17(2015年6月発行)

スポーツトレーナー志望の学生による学内最大の“部活動”は、山梨県内で唯一の医療・福祉系専門大学としてボランティア活動や研究を通じて地域に貢献

2003年に開学した健康科学大学は、世界文化遺産となった富士山麓にキャンパスがある。
山梨県内で唯一の医療・福祉系専門の大学として理学療法士、作業療法士、社会福祉士、精神保健福祉士、また来年度からは看護師を養成する学部が新設されるなど、専門職育成を目指している。さらに県や市町村とも協力のもと、産前産後ケアセンターの運営など地域に根ざし次世代へ向けた取り組みを進めている。

日本有数の豊かな自然環境に加えて、首都圏からのアクセスが便利な当地は冬季を除き、一年を通して複数のスポーツ競技会が催されており、マラソン大会をはじめ富士登山競争、ロードレース、河口湖での漕艇競技会など、全国から数多くのアスリートたちを迎える機会に恵まれている。この稀有な土地柄を活かし、本学には理学療法学科の学生などで構成する「トレーナークラブ エイミー」という学友会所属団体がある。2009年に創部、現在部員は60名におよぶ。
代表的な活動のひとつとして、将来スポーツトレーナーをめざす学生が地元開催のスポーツ競技会場に出張してブースを出し、出場選手にストレッチやマッサージなどのフィジカルケアをボランティアで行っている。マラソン大会などではランナーにストレッチ・マッサージなどを提供するが、この活動だけでも年間で6〜7回に及ぶという。その他、週1回地元の高齢者保健施設での運動指導や、町内のスポーツクラブと連携して、小学校低学年の子どもたちへの運動指導を行っている。また夏と春の長期休みには、東日本大震災の被災地である宮城県岩沼市へ行き、仮設住宅の方々にマッサージ・ストレッチの提供や地元の子どもたちとの交流などの活動も盛んに行っている。

競技を終えた選手や、不安の中で長期の仮設住宅暮らしを強いられている市民らの疲れを癒すストレッチ・マッサージの提供は、施術を受ける側にはとても有難いサービスであることはいうまでもなく、学生にとっては何よりの臨床経験となるだろう。在学中からスポーツ選手に直接かかわることができるなど、学生も貴重な経験を積むことができる双方にとってメリットのある活動となっている。加えて学生と地域との繋がりや、OB・OGとのかかわりは「他大学では経験できないことが数多くある活動」と紹介するように、地域社会の中の一員としての自分自身を実感しながら、将来の目標に直結する技術を磨く場になっているのではないだろうか。

昨年、UターンIターンを支援するNPOが調査したアンケートによると、リタイア後に移住したい都道府県の第一位に初めて山梨県が選ばれたという。人口減少は一部の大都市を除き今や日本国中の問題であるが、人口減少に歯止めをかけ、住民がいかに住みやすく安心して暮らせる町にしていくかが地方創生の成功のカギであり、官民一体となって取り組むことの1つとなるであろう。医療・福祉介護の充実が、安心生活の必須要件であるのは言うまでもない。
「本学の教育目標は①豊かな人間力②専門的な知識・技術力③開かれた協創力を徹底する」と笹本憲男学長も述べている。在学中から部活動の一環として積極的に地域と関わり、さらに濃密な人との関わり合いから、より意識の高い地域医療を担う人材が続々と輩出されることは大いに期待できる。看護学部新設にあたり「今後は臨床に強い看護師を育成し、看護師不足の県内にできる限り供給したい」という笹本学長の抱負にも、地方創生に貢献する専門大学の気概が込められているようだ。